「なぜ最近の車は0W-20や0W-16のような低粘度オイルばかり指定されているのだろう…」「燃費のためだけに無理をしているのでは?」と疑問に思ったことはありませんか?
以前は純正オイルは5W-30や10W-30が一般的でしたが現在では軽自動車からハイブリッド車そしてコンパクトカーまで多くの車種で0W-20や0W-16が純正指定になっています。
一方で「低粘度オイルはエンジンに悪い」「長く乗るなら硬いオイルの方が安心!」という声も少なくありません。そこで本記事では純正オイルが低粘度になった理由やメーカー側が採用する背景から粘度変更の考え方などをわかりやすく解説させていただきます。
もくじ
純正オイルが低粘度になったのはなぜ?
純正オイルが低粘度になった最大の理由はエンジン技術の進化と環境性能向上の両立です。
わかりやすく言えば昔のエンジンは加工精度や設計上の問題から比較的粘度の高いオイルが必要でした。しかし現在のエンジンは部品精度が飛躍的に向上し、エンジンオイルが流れる通路やエンジンそのもののクリアランスも低粘度オイルを前提に設計されています。
その結果、従来よりもサラサラしたオイルでも十分な油膜を維持できるようになり摩擦損失を減らしながらエンジンを保護できるようになりました。つまり、単純に「燃費を最優先」というわけではなくエンジン自体が低粘度オイルに合わせて進化しているということです。
エンジンオイルの表記(0W-20)について
詳細に入る前に基本的な表記をまとめておきますね。まず「0W」の部分は冬場での強さ。アルファベットの「W」はウィンター(冬)の頭文字となります。数字が小さいほど寒い朝のエンジン始動もオイルが固まらずエンジンパーツの隅々まで行きわたります。
そして「20」は温まったときの硬さです。エンジンがしっかり温まった状態(高温時)での硬さと言い換えることができます。20であればオイルとしては数字が小さめなのでサラサラしていてエンジン内部の摩擦を減らし燃費が向上する効果を見込めます。
ちなみに0W-20は最新の低燃費エンジンによく使われていてハイブリッド車やエコカー等に指定されています。粘度が低いオイルはエンジンがスムーズに回ると言われていますよね。
次は現在主流になりつつある低粘度オイルについて解説させていただきますね。
低粘度オイルをメーカーが採用する4つの理由
1. 燃費を向上させるため
低粘度オイルは流動性(流れやすさ)が高く、エンジン内部で発生する抵抗を減らせます。
その結果、エンジンが回転するために必要なエネルギーが少なくなり燃費が向上する仕組みですよね。現在は世界各国で「燃費規制やCO2排出規制が厳しくなっている」ため自動車メーカー側にとって「低粘度エンジンオイルは重要な技術の1つ」となっております。
2. エンジン内部の抵抗を減らすため
エンジンオイルは潤滑だけでなく「部品同士の摩擦を減らす役割」があります。
粘度が高すぎるとクランクシャフトやカムシャフトなどがオイルをかき分ける抵抗が大きくなります。低粘度オイルはこの抵抗を抑えエンジン本来の性能を引き出しやすくなります。
特に燃費に優れたアイドリングストップ車やハイブリッド車では、エンジンの始動・停止が頻繁に行われるため「低粘度オイルによる素早い油膜形成が非常に重要」となります。
3. 冷間始動時の保護性能を高めるため
エンジン摩耗の多くは「始動直後に発生する」と言われていますよね。
そういった意味では0W-20や0W-16のような低温性能に優れたオイルは寒い朝でも素早くエンジン全体へ循環してくれます。そのため潤滑不足の時間を短縮でき始動直後の摩耗を抑えやすくなるわけですね。冬場だけでなく一晩駐車した後の始動でもメリットがあります。
4. 最新エンジンは低粘度を前提に設計されているため
近年のエンジンはピストンリングやメタルクリアランスや可変バルブ機構等が低粘度オイルを前提に設計されていますよね。そのため設計時に想定されたエンジンオイル粘度を使用することで本来の性能や耐久性を発揮できるわけです。逆に必要以上に硬いオイルを入れるとオイルが流れる量が不足してしまったりと燃費が悪化する可能性もございます。
特に最新型だけでなく新しいエンジンの場合
人によっては「0W-16は最新車だけ」といったイメージを持っているかもしれませんが実際にはここ10~15年の間に開発されたエンジンの多くが低粘度オイルを前提にしています。
もちろん車種によって指定のエンジンオイル粘度は異なりますが新しい世代のエンジンほど「低粘度との相性を考慮して設計されている傾向がある」と言えるでしょう。
燃費の「ためだけ」は本当?低粘度オイルへの誤解
もしかすると「メーカーは燃費基準をクリアするためだけに低粘度オイルを指定している」といった話を耳にしたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか?
確かに「燃費向上は大きな目的の1つ」ですがそれだけではありません。
メーカーは耐久試験や高温試験、寒冷地試験など膨大な開発テストを実施した上で指定粘度を決定しています。もし低粘度オイルがエンジン寿命を縮めるのであればメーカーの保証や耐久性にも大きな問題が生じますよね。つまり、低粘度オイルは燃費だけでなく耐久性から始動性そして排出ガス性能等を総合的に考えて選ばれているわけです。
低粘度オイルはエンジン寿命を縮める?
結論としてはメーカー指定の低粘度オイルを使用している限りエンジン寿命が短くなるとは言えません。現在のエンジンは適切な油膜を維持できるように設計されており、指定通りのエンジンオイル粘度であれば十分な保護性能があります。ただ、オイル交換を長期間怠ったり、規格の異なる粗悪なオイルや低品質なオイルを使用した場合の話は別です。重要なのは粘度だけではなく品質規格を満たしたオイルを適切な交換時期で使用することですね。
純正指定より硬いオイルに変更してもいい?
・5W-30へ変更するケース
0W-20指定車でも5W-30に変更できるケースはあります。例えば高速道路を長時間走ることが多い場合や高温地域で使用する場合などでは5W-30を選ぶユーザーも多いです。
ただし、保護力がアップする反面で燃費はわずかに悪化する可能性があります。
・5W-40へ変更するケース
5W-40は5W-30よりもさらに粘度が高くなりますよね。
とはいえターボ車やスポーツ走行を前提とした車種では採用されることも多いです。新車や低走行車でメンテナンス記録も揃っている場合はメーカー純正粘度が良いこともあります。
粘度変更で注意したいポイント
もし愛車の粘度変更を検討する場合は「取扱説明書やメーカーが公表している許容粘度」を確認しておきましょう。許容範囲内であれば大きな問題はありません。
多走行車でも純正の低粘度オイルを使い続けるべき?
・オイル消費がない場合
10万km以上走行していてもオイル消費や異常がないのであれば基本的には純正指定粘度を使い続けるのがおすすめです。走行距離だけを理由に粘度を上げる必要はありません。
ただし、中古車で購入した場合やメンテナンス記録が曖昧であればエンジンのクリアランスからあえて中粘度や高粘度オイルを使ったほうがよいケースもございます。
・オイル消費がある場合
エンジン内部の摩耗によってオイル消費が発生している場合は少し粘度を上げることで改善するケースがあります。もし症状が大きい場合は点検を受けることも重要です。
・メーカーが許容粘度を設定している場合
メーカーによっては0W-20だけでなく、5W-30や5W-40まで許容している車種もあります。そのような場合は使用環境や走行状況に応じて選択することも可能です。
夏場や高速道路では低粘度オイルでも大丈夫?
高品質なオイルに限られますが、真夏の高速道路でも基本的に問題はありません。オイルは100℃以上の高温環境でも性能を維持できるよう設計されています。むしろ冷却性能や潤滑性能まで含めてメーカーが試験を行った上で指定しています。サーキット走行や連続全開走行といった特殊な使用環境を除けば指定オイルに不安を感じる必要はありません。
純正オイルと社外オイルはどちらを選ぶべき?
純正オイルはメーカーが車両開発時に基準で使用したオイルなので安心感がありますよね。
一方、社外オイルでもメーカー指定の粘度と品質規格を満たしていれば性能面では問題ない製品も数多くあります。重要なのは「純正か社外か」ではなく指定粘度と品質規格を満たしているかどうか。交換時は価格だけでなく使用されるオイルの規格も確認すると安心です。
なるべく高品質なオイルを選ぶことを心がけましょう。
よくある質問
最後にざっと頻繁にいただく質問をまとめておきますね。
・0W-16は本当に安全?
メーカー側の指定粘度であれば安全です。現在のエンジンは0W-16でも十分な油膜を維持できるよう設計されているため通常使用で耐久性に問題はありません。
・0W-20から5W-30へ変更すると燃費はどれくらい変わる?
車種や走行条件によって異なりますが多くの場合は数%程の差に収まることが一般的です。ただし、実際は燃費の数字として体感できないレベルである場合も少なくありません。
・ディーラー以外のオイルでも問題ない?
指定粘度とメーカーが求める品質規格を満たしていればディーラー以外のオイルでも基本的に問題ありません。可能な限り信頼できるメーカーの製品を選ぶことが大切ですね。
まとめ
上記でも詳しくお伝えしましたがメーカーが0W-20や0W-16などの低粘度オイルを指定するのは燃費だけが理由ではありません。エンジン内の抵抗低減や冷間始動時の保護性能そして最新エンジンとの設計思想等さまざまな要素を総合的に考慮した結果です。
そのため通常の使用であればメーカー指定の粘度を守ることがもっとも安心でありエンジン性能や耐久性を十分に発揮できます。粘度変更を検討する場合は自己判断ではなくメーカーが許容している範囲内で選択すれば失敗しにくいです。純正指定の低粘度オイルには、開発段階から積み重ねられた明確な理由があるという点だけは理解しておきましょう。
もちろん、低粘度指定車に高粘度を入れている方も多くいらっしゃいます。実際は推奨粘度よりも実際の状況から判断することも重要です。ぜひ本記事の内容もご参考くださいませ。
日本発の中古車輸出企業からスタート。30ヶ国以上で実績を積み高品質な自動車部品の自社開発も手がけます。エンジンオイル・ブレーキパッド・オイルフィルター・エアフィルター等、こだわりのMADE IN JAPANを世界中へ届けています。




