冬にエンジンをかける時、夏に比べてエンジンのかかりが悪いという話をきいた事がある人はいらっしゃるかと思います。特に多走行車や旧車はパーツの経年劣化もあり、上記のような不安をお持ちになることも…。一方多走行車や旧車は高粘度のエンジンオイルの方がいいともいわれ、何が正解かわからないと思う方もいるのではないでしょうか。
今回は冬に多走行車・旧車に使用するエンジンオイルについて深堀していこうと思います。まずはエンジンオイルの粘度の見方について説明します。
もくじ
エンジンオイルの粘度の見方
現在エンジンオイルの粘度はSAE規格と呼ばれる規格で表されることが主流となっています。エンジンオイルのパッケージに〇W―△△と表記されているかと思いますが、この表記がSAE規格と呼ばれているものです。
SAE規格とは
前半の〇Wは対応する外気温を表しており、〇の数字が小さいほど低い気温でも対応できるエンジンオイルになります。
0Wだと-35℃、5Wだと-30℃、10Wだと-25℃、20Wだと-15℃まで対応するエンジンオイルです。
後半の△△は粘度の硬さを示しており、△△の数字が大きいほど硬い(高粘度)のエンジンオイルになります。
新車などに使用されるオイルは20番、30番が多いですが、走行距離や年数がかさむにつれ40番、50番と固いオイルが選ばれる傾向にあります。


旧車・多走行車に求められるエンジンオイルの粘度とは
“エンジンオイルの粘度の見方”の項目で少し触れましたが、旧車・多走行車には高粘度のエンジンオイルが推奨されます。高粘度エンジンオイルとはいわゆる20W-50等の50番台あたりの粘度帯のオイルを指します。高粘度オイルが推奨される理由は大きく2点あげられます。
エンジンへの保護能力が大きい
新車や走行距離の少ない自動車は問題ありませんが、旧車や多走行車はエンジンが少なからず摩耗している可能性があります。エンジン内部ではエンジンを駆動するためにパーツ同士が激しくピストン運動を行います。そのため、パーツ間で起きる摩擦を軽減するためにエンジンオイルが緩衝材の役割することで摩耗の進行や異音を防ぎます。エンジンオイルの粘度が高いほど油膜が厚くなるため、疲弊しやすい旧車・過走行車のエンジンに優しい設計となります。
エンジン本来の力を出しやすい
油膜が厚いことの恩恵はエンジンの保護力だけではありません。ピストン運動を行うためにパーツ間には隙間(クリアランスと呼ばれる)がありますが、エンジンオイルはこの隙間を埋める“密閉”の役割を果たしています。密閉の役割が足りないと、エンジン内部にある燃焼室で作ったエネルギーが抜けていき、パワーダウンや白煙などの症状に繋がります。
多走行車・旧車を冬の時期に運転する際に知っておきたい事
多走行車や旧車において、運転する時期によってありがちな特有の現象を振り返りますね。前提として春・夏・秋・冬問題なく運転することはできますが、時期によっては認識しておくことがあります。今回は冬のポイントについて簡単におさらいします。
エンジンのかかりが悪い
冬の場合、夏に比べてエンジンのかかりが悪くなりやすいといわれています。これはエンジンをかける際に抵抗する力が夏よりも大きいからです。その原因の一例にエンジンオイルがあげられます。エンジンオイルは油温が低いほど固く、高くなるにつれてやわらかくなります。冬はエンジンオイルの油温が夏に比べて低いため、始動前はエンジンオイルが固くなります。
そのため抵抗力が大きくなり、かかりが悪くなると感じる人がいるわけです。事前にエンジンをかけておく暖機運転が必要といわれるのはこのためですね。
つまり、特定の粘度に関わらず、どの粘度でも冬になるとエンジンの始動に違いが出る可能性があります。このことを念頭に入れたうえでエンジンオイルを選ぶ必要があります。
冬では20W-50と10W-40のどちらが推奨されるのか?(50番と40番の違いはどう考えるとよいかについて)
先ほどエンジンオイルは冬の方が固くなるためにかかりが悪くなると感じる人がいるとお伝えしました。では、20W-50などの50番より粘度が低い10W-40のような40番台の方がいいのでは?と思う方はいらっしゃるかと思います。ここで確認したいのが“エンジンオイルの粘度の見方”の項目で説明したSAE粘度表記の意味です。
20W-50は-15℃まで対応できるエンジンオイルをあらわしています。-15℃を下回る気温の地域は日本国内では限られているため、極寒地域以外では20W-50でも問題なく使用できます。
とはいえ、愛車の状況によってはまだ走行距離が10万kmを越えてない、冬でエンジンがかかりづらいと感じているなどという方もいるかと思いますので、一概には言えないのが難しいところです。冬だから20W-50が使用できないと自然と避けていた人は安心してお使いただければと思います。
まとめ
いかがだったでしょうか。季節によって燃費にも少なからず影響することもあり、特に冬は高粘度帯のエンジンオイルを選ぶ事に抵抗を感じる方もいるとは思います。エンジンオイル選びは愛車との相性もあり、しっくりとくるエンジンオイルを探すのは人によって時間がかかります。
だからこそ、選択肢を狭めずに様々なエンジンオイルを試して愛車に合ったエンジンオイルを探して頂ければと思います。本記事が冬に高粘度エンジンオイルを使用する事をためらってしまう方の後押しになれば幸いです。
日本発の中古車輸出企業からスタート。30ヶ国以上で実績を積み高品質な自動車部品の自社開発も手がけます。エンジンオイル・ブレーキパッド・オイルフィルター・エアフィルター等、こだわりのMADE IN JAPANを世界中へ届けています。




