エンジンオイルを購入する際に3L缶か4L缶か迷われている方に向けて、プロの知見をお伝えします。

皆様はエンジンオイルを店頭もしくはオンラインで購入したことはありますでしょうか。店頭には主に3Lと4L、オンラインではその他にも5L~20Lまで幅広いサイズでエンジンオイルが販売されています。幅広いサイズ展開がある中で、どのサイズを選べばいいか迷ってしまいますよね。
今回はそのような方に向けてどのサイズを購入すればいいか、見方と考え方についてエンジンオイルメーカーの視点でお伝えさせていただければと思います。

エンジンオイルの規定量は車種ごとに異なる

自動車によってエンジンオイルの規定量が異なることをご存じですか?少ないものだと 3L弱、多いものだと8L弱まで幅広く存在します。規定量が異なる理由は様々ですが、一番大きな理由はエンジンの設計が違うことがあげられます。軽自動車とトラックを想像してみましょう。エンジンのサイズが違うため、エンジンオイルの必要量も違ってきます。各自動車メーカーによってもエンジンオイル量は若干異なるところではありますが、エンジンオイルの規定量は自動車の説明書に記載されているため、記載量を基にエンジンオイルを選べば問題ありません。

取り扱い説明書に記載されている内容

実際にエンジンオイルを入れる際は、レベルゲージを確認しながら規定量を入れましょう。規定量よりも少なすぎた場合、もしくは入れすぎた場合は以下の様なトラブルにつながる可能性があります。順にみていきましょう。

エンジンオイルが少なすぎた際の問題点

エンジンオイル交換の際、最初に全て抜くことから始まります。空になったエンジンに新しいエンジンオイルを入れることで、オイル交換は完了となります。その際に少しでもエンジンオイルが足りないと以下の様な問題が発生するため、事前にしっかり準備しておきましょう。

エンジンから異音・振動が増え、負担がかかる状態になる

エンジンオイルが足りないことで、エンジン全体にいきわたらない状態になってしまいます。その結果、エンジンオイル本来の役割が果たせなくなり、様々な影響を引き起こします。

潤滑

エンジン内部の部品は1分間に数千回転もの高速運動を行います。その際に発生する摩擦や摩耗を防ぐためにエンジンオイルは油膜を形成することで緩衝材としての役割を果たします。エンジンオイルが足りないと緩衝材の役割が薄くなり、異音や騒音に繋がります。

密閉

エンジン内部にあるシリンダーとピストンの間には上下に運動するためにわずかな隙間があります。油膜を作ることで隙間を抑え、ピストン運動によって発生したエネルギーを逃がさないようにします。エンジンオイルが足りないと生成したエネルギーが漏れてしまい、パワーダウンに繋がります。

洗浄

エンジンオイルが潤滑することによって内部に発生したスラッジ(エンジン内部に発生した燃えカス)や金属摩擦等を取り除き、エンジン内部を綺麗に保ちます。エンジンオイルが足りないとエンジン内部のスラッジが十分に取れない可能性があります。

冷却

エンジンは駆動するうちに燃焼や摩擦等で高温になります。エンジンオイルはエンジンの熱を吸収し、オイルパン(エンジンオイルを溜めておく場所)に蓄積することで冷却され、再びエンジン内部を循環します。エンジンオイルが足りないとエンジンの冷却が足りず、エンジンに負担がかかりやすい、エンジンオイルの劣化が激しくなります。

防錆

エンジン内部は燃焼や回転運動により高温になる関係上、外気との温度差により水分が発生するため、錆が発生しやすい状態になります。エンジン内部の部品に油膜を作ることで水分が直接触れることを防ぎ、錆が発生することを防ぎます。エンジンオイルが足りないと水分が直接触れやすくなり、錆につながる可能性があります。

エンジンの焼き付きにつながる可能性も

エンジンオイル不足の状態が続くと、エンジンの焼き付きにつながる可能性があります。エンジンの焼き付きとは、エンジン内部の金属部品同士が高温状態で直接摩擦することで、変形したり融解したりしてしまう現象のことを言います。
エンジンに焼き付きを起こした場合、エンジンが動かなくなる可能性があります。エンジンの交換になった際は高額な修理費用がかかります。
エンジンの状態によってはエンジンオイルの消費が激しい自動車もあります。ぎりぎりのサイズを選ぶのではなく、イレギュラーやつぎ足しも考慮した余裕のある容量を購入しておく方が安心です。

エンジンオイルを入れすぎた際の問題点

ではエンジンオイルを規定量より多めに入れるのは問題ないと思う方もいらっしゃるかと思います。確かにエンジンをダメージから守れそうですよね。しかし実は多めに入れることも不都合が起きることがあります。その理由は3つあります。

燃費が悪くなる

エンジンはエンジン内部のパーツがピストン運動することで駆動します。エンジンオイルの量が増えると抵抗が増え、燃費に影響が出る可能性があります。

白煙が出る

規定値より多いと、本来入り込まないはずのエンジンオイルがエンジン内部パーツのピストン運動によって燃焼室に入りこむ可能性があります。燃焼室に入ったエンジンオイルは燃えて白煙になるため、排気口から白煙が出ることに繋がります。

エンジンオイルが劣化しやすくなる

エンジンオイルが劣化しやすい条件の一つにエンジンオイルが十分に温まらない状況での発進・停止の繰り返しがあげられます。エンジンオイルの量が規定値より多いと、この状態に陥りやすくなってしまいます。エンジンオイルが温まらないと、エンジンオイル内の水分が飛ばず、マヨネーズ状の乳化状態になってしまいます。その結果、エンジンオイルのスラッジがたまりやすくなり、劣化に繋がります。

3Lと4Lどちらを選べばいいの?

上記でエンジンオイルは少なすぎても多すぎてもエンジンに負担がかかると説明しました。そのため、エンジンオイルの規定値に足りるサイズのエンジンオイルを購入することが望ましいです。車種にもよりますが、軽自動車は2.7~2.9L(オイルフィルター交換込み)程、普通車だと3.5~4.2L程、大型だとそれ以上になる傾向があります。そのため、軽自動車は3L、それ以外だと4L缶を選ぶのがわかりやすいかもしれません。(店頭には20Lを扱っているお店は少ないですが、通販だと20Lを取り扱いしているオイルメーカーがあるため、大型車の方は20Lも選択の余地があります)エンジンオイルは仮に余った場合でも保管できますので、つぎ足し用として残される方もいらっしゃいます。サイズが大きいほどL当たりの価格が安くなるため、あえて4Lサイズや20Lサイズを買う方も多いです。もしお持ちの愛車の規定量がわからない場合は一つの判断材料にしてみてください。

まとめ

いかがだったでしょうか。エンジンオイルの規定量は自動車毎に変わるため複雑ではありますが、一度覚えてしまえば次回から迷うことはありません。エンジンオイルを交換した後は、オイルゲージを見て規定値になったか確認してくださいね。

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