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一般的に高級なエンジンオイルとして多くの方から認知されているエステル系のエンジンオイルがありますよね。人によっては高級よりも最新といった印象を持つ方もいるかもしれません。
今回は「エステル系のエンジンオイル」について詳しくご紹介いたします。
もくじ
エステル系エンジンオイルのメリットとデメリット
ひとことでエンジンオイルと言っても、オイルのさらさら度合いを示す「粘度」や添加剤の種類など想像しているよりさまざまなパターンがありたくさんの商品が販売されていますよね。
先述した通りエステル系のエンジンオイルは「高級エンジンオイル」と言われています。
下記ではエステル系エンジンオイルの特徴について解説させていただきます。
ベースオイルについて
ベースオイルというのはその名前の通り「基礎(ベース)になっているオイルそのもの」です。
わかりやすく言えば原油を粘度別に分けたものが「鉱物油」。そして「化学合成油」は鉱物油に化学反応を起こして作り変えたものとなります。つまり、原油(ベースオイル)の品質によって鉱物油か化学合成油なのか(どのグループに属するか?)ということが決まる仕組みですね。
とりあえずは下記の3種類を覚えておけばOKです。念のために補足させていただきます。
鉱物油
原油を蒸留・精製して不純物を取り除いたオイル。もっとも手頃な価格で手に入ります。
化学合成油
原油を化学分解し、成分を整えた人工的なオイル。100%化学合成油とも呼ばれています。
部分合成油
鉱物油に化学合成油を20%以上配合した混合オイル。鉱物油が苦手な領域を化学合成油で補完。
エンジンオイルのグループとは
実は、厳密に言えば「化学合成油」は原油から作られたものではなく「0から人工的に作られたベースオイル」となります。さきほど「化学合成油は原油を化学分解したオイル」と書きましたが正確な表現をするなら化学合成油は原油から作ったものではないという意味ですね。
そして、それらを語る上で重要になる考え方が「ベースオイル」となります。ベースオイルは「アメリカ石油協会(American Petroleum Institute:通称API)」によって5段階のグループに分類されています。ほんの少し複雑な話になるのでまずは以下の分類表を見てください。
グループ | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 |
---|---|---|---|---|---|
ベースオイル | 鉱物油 | 鉱物油(VHVI) | 化学合成 | ||
鉱物油 | 水素化精製鉱物油 | 高度水素化精製鉱物油 | PAO | エステル | |
表記 | 鉱物油 | 全合成油 | 100%化学合成油 |
※横スクロール可能です
エンジンオイルの「グループ」は、先述したAPIによってグループ分けされているベースオイルの分類となります。正しくは英語でのグループ名なので「Group III」といった記載ですね。
念のために一覧でまとめておきます。
グループ1 鉱物油
グループ2 水素化精製鉱物油
グループ3 高度水素化精製鉱物油
グループ4 PAO(ポリアルファオレフィン)
グループ5 エステル系(その他グループ1~4に属さないものすべて)
つまり、カンタンにまとめると「全合成油や化学合成油」に明確な定義はなく、仮にグループ3でも100%化学合成油として売られているエンジンオイルもあり実際はケースバイケースです。
過去に「合成」という言葉の定義を熱心に議論した時期もありましたが最終的にまとめることはできず、そういった背景もあって現時点では「合成の定義」はメーカー側で判断して表示しても良いという状況になっています。はっきりとしたルールがないこともあって合成や化学合成という言葉に明確な線引きは存在しない(公式な定義自体ない)のでその点は覚えておきましょう。
エステル系エンジンオイルの違い
話がだんだん難しくなってきたのでざっと整理しておきますね。エステル系のエンジンオイルを大きく2つにわけると下記となります。違うのはベースオイルが属しているグループですね。
A. 全合成油(グループ3)にエステルを配合したエンジンオイル
B. エステル(グループ5)をベースに作られているエンジンオイル
エンジンオイル市場では「エステルが最高品質のベースオイル」と多くの方が認識していますがエステル単体をベースオイルに使った商品(B)の数は少なく他のベースオイルの添加剤として安定性を高めるためにエステルを配合することが多いです。またグループ5やグループ4は金額面でどうしても高額になりがちなので「コスパの観点で考えると商品化しにくいのも特徴」です。
たとえば「JDA公式ショップ」で販売している「0W-40 MA2 SN 4L」はグループ3の全合成油をベースにして「PAO」を配合することで通常よりも価格を抑えて販売することができています。
グループ4やグループ5をベースオイルに使用すると「定価が通常より高くなる傾向」があるので全合成油(グループ3)をベースオイルに使ってお手頃な価格帯を実現しているわけです。
では下記にエステル系エンジンオイルのメリットとデメリットについてまとめておきます。
エステル系エンジンオイルのメリット
エステル系のエンジンオイルは「潤滑油」としての純度が高く、配合される割合(比率)が多くなるほどエンジンオイル側が持っている「洗浄効果」も強まっていく点が特徴ですね。
そして配合される比率が増え、高純度であればあるほどエンジンの負担は減ってエンジン始動性や燃費向上も期待できます。耐熱性能も高く長距離走行で劣化しにくい特性を持っています。
なお、エステル特有の「磁石(金属)に吸着する性質」から、他のエンジンオイルと比較すると潤滑性が良いと言われていたり【潤滑性能の向上】は大きなメリットとなるでしょう。
エステル系エンジンオイルのデメリット
さきほど先述した通りエステルを配合する比率が増えるほど「価格が高額」になっていきます。
また、使用される環境によってはエンジン内部に発生した水分からオイルの劣化が早まる可能性もございます。エンジンを暖気せずに短距離走行を繰り返すような乗り方をしていると空気中の水分がエンジンオイルに混ざって「オイルの劣化を早めることもある」という意味ですね。
特にエステルは湿度が高い環境では酸化が進みやすいため車の使用頻度が少なかったりエンジンが暖気されていない状態でエンジンON/OFFを連続するような乗り方の人には合いにくいです。
どんなエンジンオイルもそれぞれ特性があるので性質に合わせた管理が必要とも言えますよね。
まとめ
本日は「エステル系エンジンオイルのメリットとデメリット」をご紹介させていただきました。
エンジンオイルでは「どのグループに属したベースオイルを元に作られているのか?」といった疑問もあるかもしれませんが詳細は先述の通り各メーカーによって変わるというのが正解です。ベースオイルが気になる商品があればメーカー側に仕様を聞くというのもよいかもしれません。
本記事がご参考になれば幸いです。
日本発の中古車輸出企業からスタート。30ヶ国以上で実績を積み高品質な自動車部品の自社開発も手がけます。エンジンオイル・ブレーキパッド・オイルフィルター・エアフィルター等、こだわりのMADE IN JAPANを世界中へ届けています。