エンジンオイルの値上がりと在庫切れの理由とは?ナフサとエチレンの関係を現場目線で解説

エンジンオイルの値上がりと在庫切れの理由とは?ナフサとエチレンの関係を現場目線で解説

「いつものオイルが入ってこない」「気づいたら驚くほど値上がりしていた」といった困惑の声を最近現場でもよく耳にするようになりました。かつては当たり前のように棚に並び、いつでも交換できたエンジンオイルがなぜ今これほどまでに不安定かご存知でしょうか?

単に「みんながたくさん車に乗っているから足りない」といった単純な話であれば対策も立てやすいのですが、実はもっと深く目に見えない部分で大きな構造変化が起きています。

結論からお伝えすると「原油価格の変動」だけではありません。その先にある「石油化学」という巨大な産業界全体のバランスが、私たちの愛車のエンジン内部を潤す一滴のオイルにまでドミノ倒しのように影響を及ぼしている状況です。下記で詳しくお伝えいたしますね。

エンジンオイルは「油」ではなく精密な設計図

まず大前提として知っておきたいのはエンジンオイルは単なる「ドロドロした潤滑用の油」ではないということです。これらは原油を精製して不純物を取り除いた「ベースオイル」を土台に、エンジンの保護や洗浄といった性能を極限まで高める「添加剤」をミリグラム単位の精度で調合した精密な工業製品です。言い方を変えると高純度オイルとも言えます。

もし料理に例えるなら、ベースオイルが産地直送の新鮮なメイン食材、添加剤は全体の味を決定づける「門外不出のスパイス」です。いくら良い食材があってもスパイス1つ欠ければ伝統の味は再現できませんよね。現在の供給難の背景にはこの「食材(ベースオイル)」の確保と「スパイス(添加剤)」の物流の両方が不足しているという事情があります。

価格のベースは原油だがそれだけではない現場

もちろん、価格の大きな土台を支えているのは「原油価格」です。

原油は1バレルあたりいくらで取引されるかによって材料費用の基本ラインが決まります。

そして現場では今「原油価格も数倍上がりベースオイルの値段自体がはるかに上昇」している状況です。カギを握るのが巨大な製油所という名の「超大型キッチン」の運営ですね。

限られた設備の中で今日、明日、どの製品を優先して調理し、出荷するのか。そこには私たちが想像する以上にシビアな産業界全体の「配分調整」が働いていたりもするわけです。

ナフサが生む供給バランスで主役の座を奪われる潤滑油

原油を精製するプロセスでは、加熱による沸点の違いを利用してガソリン、灯油、軽油など様々な成分に分けられます。その過程で得られる軽質留分のひとつが「ナフサ」です。

ナフサはガソリンに近い性質を持つものの、その多くは石油化学の原料として利用され、プラスチックや合成ゴム、包装材、衣料繊維などあらゆる化学製品の出発点となる重要素材。ナフサを通じて原油は燃料としてだけでなく化学製品の基盤としても活用されます。

一方でエンジンオイルなどの潤滑油に使われる重質留分とナフサは、同じ原油から生まれるものの直接の競合関係にはありません。しかし、世界的に石油化学製品の需要が高まる局面では製油所の設備構成や経済性の判断によって軽質留分側の生産比率が相対的に重視される傾向が生まれることもあります。その結果として供給構造全体のバランスが変化し「一部の製品が以前より手に入りにくい」と感じられる状況につながることもございます。

エチレン需要がオイルと関係?コンビニ袋とエンジンの意外な接点

ナフサが分解されて生まれる「エチレン」は重要な素材です。レジ袋からペットボトルや、家電製品、自動車の樹脂パーツに至るまでエチレンの需要はとどまるところを知りません。

また、驚くべきことに直接は関係ないように見えるスーパーのレジ袋や日用品の需要増が、巡り巡って愛車の「エンジンオイル」まで影響してくるといったケースも。

専門的な話になりますが一般的な製油所では同じ原油から「プラスチック原料」と「エンジンオイルの材料(ベースオイル)」両方が作られています。そして利益が出やすいエチレンプラント(プラスチック原料向け)への供給が優先されるとエンジンオイル用ベースオイル生産は後回しになり少しずつ供給量が減ってしまいその影響はじわじわ整備工場の在庫不足やオイル価格の上昇につながり最終的にユーザーの負担へと広がっていくわけですね。

在庫問題の正体は「不足」ではなく「深刻なズレ」

現状を冷静に分析してみると今起きているのは「地球上からオイルが消滅した」という絶対的な資源不足ではありません。むしろ「必要なタイミングで必要なスペックのものが必要な場所へ届かない」といった各局面で複雑化している「商品供給の不安定さ」です。

たとえば特定の粘度(例えば低燃費車向けの0W-20など)だけが極端に枯渇したり、特定のブランドだけが数ヶ月の入荷待ちになったりする。これは流通はあるものの受け取る側のコップの向きやタイミングが噛み合わない「供給のズレ」が蓄積した結果でもあります。

この微細なズレが積み重なって最終的にショップの棚に大きな穴をあけてしまうわけですね。

価格の上昇が「忘れた頃に」やってくる理由

今後原油価格が上昇し続けるか落ち着くかはなんとも言えませんが「ニュースで原油が安くなったと聞いたのにどうして店頭のオイルは高いままなの?」と、不満を感じることもあるかもしれません。しかしオイルの価格反映には非常に大きなタイムラグが存在しています。

材料の長期契約、海上輸送にかかる日数、そして各拠点に眠る膨大な在庫が完全に入れ替わるまでのサイクル。これらを考慮すると上流での価格変動がエンドユーザーの価格に響くのは数ヶ月から半年先になってしまうといった現象も珍しくありません。

ある日突然「値上げ通知がショップから届いた」ように見えてもそれは数ヶ月前から水面下でゆっくりと進んでいた波がようやく岸辺に到達した結果に過ぎないわけですね。

まとめ

現在のエンジンオイル不足は一時的な品薄や流行ではありません。

背景には「原油価格の変動や製油所の生産調整」さらに世界的な石油製品の需要増加など、さまざまな要因が関係しています。特に近年はガソリンや軽油だけでなく、化学製品の原料として使われる石油需要も高いためエンジンオイル供給にも影響が出やすくなっています。

ただ「オイルそのものが世界からなくなる」という話ではなく問題なのは必要なタイミングで安定して供給する体制が少しだけ不安定になっていることですよね。

今後もしばらくは一部の商品で欠品や価格変動が起こる可能性が高いです。オイル交換時期が近い場合は早めに在庫を確認したり余裕を持って予約することをおすすめいたします。

普段はあまり意識することがないのがエンジンオイルなのかもしれませんがその裏では原油価格や物流といった世界経済の動きにまで関係しています。今回の価格上昇や品薄状態はこうした社会全体の変化が「身近なカー用品」にも影響している例の1つと言えるでしょう。

関連記事

最近の記事

  1. エンジンオイルの値上がりと在庫切れの理由とは?ナフサとエチレンの関係を現場目線で解説

  2. 価格改定のお知らせ

  3. 原油高騰はいつまで続く?なぜ値上がり?2026年最新原油価格の見通しと業種・生活用品への影響!買いだめされやすい高くなるものまで徹底解説

ショッピングサイトへ
TOP